
「アミノエチルチオコハク酸ジアンモニウム」の化学構造に関して、「チオール基(-SH)」が含まれているという話を聞くので、どうかを正確に整理しました。
1. 化学構造の考察
「アミノエチルチオコハク酸ジアンモニウム」という名称から、分子構造は以下の要素で構成されていると考えられます
アミノエチル基
構造式:-CH₂-CH₂-NH₃⁺
アミノ基がプロトン化(NH₃⁺)した形。
チオコハク酸
コハク酸(HOOC-CH₂-CH₂-COOH)のうち、酸素の一部が硫黄(S)に置換された構造。
例えば、HOOC-CH₂-S-CH₂-COOH のような形。
ジアンモニウム塩
分子全体が2つのアンモニウムイオン(NH₃⁺)の形で存在。
2. チオール基(-SH)の有無
チオール基(-SH)とは?
チオール基(-SH)は硫黄原子(S)に水素原子(H)が直接結合している官能基です。この基は高い反応性を持ち、還元や共有結合形成に寄与します。
アミノエチルチオコハク酸にはチオール基があるか?
構造を解析すると、「チオコハク酸」の部分には硫黄(S)が含まれるものの、この硫黄は酸素の代わりに結合しており、-SH(チオール基)ではないと推定されます。
具体的には、硫黄がカルボン酸(-COOH)や炭素鎖に直接結合しているため、分子中に自由なチオール基(-SH)は存在しない可能性が高いです。
3. 補修効果と硫黄原子の役割
アミノエチルチオコハク酸ジアンモニウムが髪の補修に寄与する際、チオール基ではなく、分子中の硫黄原子(S)が反応性を持つ部位として作用する可能性があります。
硫黄原子は、髪内部の損傷部分(特に切断されたジスルフィド結合や酸化損傷部位)と相互作用し、補修の一助となると考えられます。
ただし、これはチオール基の化学的性質とは異なる作用です。
4. 結論
「アミノエチルチオコハク酸ジアンモニウム」に自由なチオール基(-SH)は含まれないと推定されます。髪への補修効果は、硫黄原子を介した相互作用や、他の官能基(アミノ基やカルボン酸基)の静電的作用によるものです。
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